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+はじめに / SJが目指すもの
Yuta Uozumi(Track compose, Piano)
僕たちはSamuraiJazz(以下SJ)は、バンドではなく「プロジェクト」であると理解するようにしている。
これは、バンドという言葉が持つ従来的なイメージを捨てて、いかにドライに自らを開発・進化、多様化させていくか、を実現するためだ。
プロジェクトには必ず目的と存続期間が存在する。
SJの目的は、次のように考えることが可能である。
A・良質で面白い体験(現在は音を媒体として)を生成/提供する
B・その体験を、可能な限りベストな形で生成するために、徹底したカスタマイズを行う
Aは、文脈的な付加情報(アカデミズムや社会的要素)なしでも、十分に成立する、生理的な面白い体験を生成する、ということだ。
面白さには当然新奇性も含まれる。
生理や認知といった普遍的な要素に根ざした、民族や文化によらない純粋な体験をいかに作るか、という部分にフォーカシングしている。
極端な話、アフリカからヨーロッパ、アジア、まで子供や大人が直面して目を見開くような、シンプルな普遍的な体験を目指しているといえる。
だが、そのためには、いわゆる水戸黄門の印籠的なモノ(権威や歴史的な要素)といったものに惑わされずに、いかに人間が本来持つ生理的な反応を引き出すかといったアプローチが必要となる。それには、音響心理学や認知科学といった分野の成果なを有効に活用することになる。
「体験」にフォーカシングしている意味では、いわば、SJが作ろうとしているものは、音源であろうとライブであろうと、「ヴァーチャルリアリティ的なソフトウェアである」といってしまうことができる。
また、後者のBは、SJの特徴的な部分を形成する。
SJのアウトプットは大きく分けて、成果物は「ライブ」と「音源」の二種類に分けられる。
CD音源はメディアの性質上、通常は作品として完成した、変化しないものを提出せざるを得ない。
この場合、我々が想定するのはラジカセの前であったり、ヘッドホンなどの環境になる。また、対象となるリスナーも、ある程度絞り込む。
一方、ライブでは毎回毎回、環境が変化する。当然、内容も毎回演奏しなおすことになる。
環境が変わって、都度作るのだから、そこには当然、場所や観衆などによって、内容をカスタマイズする余地があることになる。
つまり、場所・イベントの流れ、観衆など不確定な要素によって、我々が提示できるベストの形は常に変化する。そして、ライブは毎回現地で演奏を作り上げる以上、それに対応することが可能だ。
要するに、ライブでは動的な体験生成が可能になる。
一言でいえば、SJがライブで目指すのは「高精度の動的な体験生成」といえる。
そして、プロジェクトの存続期間は、これが完全に具現化できた時または不可能になった時である。
特に、ライブでは毎回オーガナイザーに必ず「どんなリスナーさんが来られるか、イベントのコンセプト、我々に何を期待して依頼してくれたのか」などをヒアリングし、それを基づいた構成を毎回行っている。
したがって、我々のライブは、毎回その場に居てくれている人のためにカスタマイズされた内容になっているといえる。
毎回ライブの内容が違う、と感想を述べて下さる方がおられるのは、このカスタマイズの結果を敏感に察知されているのだろう。
もちろん、理想と現実という形で、すべてがうまくいくとは限らず、多くの失敗や不具合をこれまで経験している。
しかし、少しでもこの動的な体験生成を効率化するために、試行錯誤を重ね、改良して来た結果がここで紹介しているシステムである。
ICや同じように新しい即興を模索されている方、分散協調処理などの動的システムなどに興味のある方は是非、内容を参照していただければ幸いだ。
あと、言い訳めいてしまうことを承知で書いてしまうが、ここに書かれていることに学術的な価値は基本的には存在しない、としておく。学術論文ほど厳密な検証や文献探索を経ていないためである。
あくまでも、「実践」を目的に開発してきた「手法」の紹介を目的に書かれたものである。
結果的に良好な結果を残したアイディアが残り、ここで紹介されている。
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