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 SamuraiJazzは、電子音響と生楽器による譜面を使わない演奏をするために結成されたプロジェクトです。
 2003年3月、Cubicmusicよりアルバム"meme?"の発売をきっかけに、本格的な研究活動を開始しました。

 このCDは現在、イギリス、アメリカ、香港などでも発売されています。


 SJが開発しているのはインスタントコンポジション(以下IC)という新しい即興音楽の方法です。
  通常、即興というと演奏者が集まって行うものですが、ICでは「作曲者」が集まってその場で曲を作っていると考えます。
  即興音楽というとJazzのように、譜面無しで楽器奏者がいかに自由に演奏を繰り広げるか、といった「器楽的」な側面に着目されがちです。
  一方、ICは(インスタントコンポジション=瞬間作曲)というコンセプトで、譜面なしに「新しい曲」をその場で生み出そうというアプローチを続けてきました。

  ICにおいては、メンバー全員は演奏者ではなく、あくまでも「作曲家」なのです。
 作曲である以上、高速の演奏や複雑なリズムよりも、「いかに音楽を設計していくか」が重要になります。
  つまり、どれだけ技術的に難しく、すごい演奏をしようとも、それが結果的に心地よい音楽になっていなければ、いけません。
  逆に演奏しなかったり、驚くほど簡単なフレーズだけを繰り返しても、それが結果的に音楽的な効果を生み出していれば、それは肯定されます。
  ICとは、瞬間瞬間にベストの音部品を設計して「音楽」を次々と構築していこうという方法論なのです。


どうやってそれを実現するのか?

 一口に「瞬間作曲」といっても、作曲は簡単ではありません。
  それを何人かで瞬間的にするなんてことは、果たしてできるのでしょうか?
  はっきりいって、不可能です。

  ICでなくても、Jazzなどでの非常に優秀は演奏家達が集まった時に、「瞬間作曲」としか言えないような、素晴らしい精度の音楽を生み出すことがあります。しかし、これは才能と卓越した経験があるからできることであって、普通はできません。
  そもそも、作曲とは一人の作曲家が時間をかけて音楽を丁寧に設計していく作業です。
 これを即興的にやろうとしても、混沌がすぐに生まれてしまいます。

  そこで、我々は「マルチエージェント」という複雑系という科学の新しい手法を利用して、それを実現しようとしています。
  マルチエージェントとは、つまり設計の作業を分担して、会話のように「音楽」を発展しておいこうということです。
  そのために私たちは MACS, スキーム、FISという三つのアイディアを組み合わせています。
  これはICのための簡単なルールです。
  このルールを、DNAのように進化的させていくことで、各作曲家はこのルールに従いながら演奏で「会話」していくことによって、結果的に音楽を生み出そうというのです。
  下はそれぞれのアイディアの簡単な紹介です。



  MACS(Multi Agent Compotision System)

  MACSは半ペラの、一枚の紙切れです。 これが私たちの譜面の代わりになります。
  ここには、私たちが部品を設計するときに、「どういった感情」を具現化するかというルールが示されています。
  この紙にしたがって、私たちはたえず演奏全体を聴き、それをもとに次に演奏する内容を決めています。
  そうやって出した音は、さらに次に出す演奏の内容に影響します。
  このように、まるでドミノのように出した音が次の新しい音を呼び込んでいくことで、曲が生み出されていくようにしています。
 元は、具体的な音の内容が指示として書き記されていましたが、安易な追従を避けるために現在は、デザインすべき情動を「漢字」で記すようにしています。





 スキーム

  スキームは、MACSをもとに音楽の展開を生み出していくかのルールです。
  ICの演奏は常に、大きな流れの中で混沌と秩序の間を行き来しており、混沌から秩序が生まれていく様子(またはその逆)こそが最大の醍醐味です。
  この秩序や混沌が生みだすキッカケを生み出す巧妙な仕掛けが、この「スキーム」の中にはこめられています。




FIS(Flash Improvisation System)

  複数の作曲家で曲を作ると、一つ困ったことが起きてしまいます。
  「みんなで一斉に演奏を止める」「一気に盛り上がる」といった大きな変化が起こりにくくなってしまうのです。

  もちろん、普通の作曲ではこんなことはありません。 これを一気に解決してくれるのがFISです。これは、一人の作曲家が他のそれぞれの作曲家に信号機のような「光」の信号を送ることができる電球を使った簡単な装置です。
  この信号には暗号が隠されていて、これに従って全員が曲に大きな動きを与えます。



 SJでは、これらのアイディアを組み合わせて、作曲家が会話(コミュニケーション)していくことで曲を生み出していきます。 これがICです。これらのアイディアはICを実現するために、数々のライブを繰り返す中で生まれてきました。 IC独特の感触を生み出すため、SJは現在も開発を続けています。


 これ以降のドキュメントは、実際により詳しくiInstantCompotision(IC)手法をどのように実現しようとしているかの仕組みや考え方を説明しています。
  もし、現在電子音楽などの即興的な演奏活動をされていて(または興味のある)、新たな手法のデザインに興味のある方は是非ご参照いただき、掲示板やメールなどで何らかの形でフィードバックをいただければと思います。

 もし可能ならば、ライブなどに足を運んでいただき、是非直接その耳で体験いただければ幸いです。


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SamuraiJazz Web 2003. dubdb / Rhizome Records