SamuraiJazzについて

ピアノ+プログラミング魚住勇太(isana)とトロンボーン奏者米子匡司、打楽器奏者アサダワタル、ギタリスト中垣内イサオ、ベーシスト大谷修平5人によるプロジェクト。
 90年代後半より即興演奏と電子音響を密接に組み合わせた演奏を試みを続ける。
  両者のピアノ、トロンボーンをはじめとする生楽器によるインスタントコンポジション*をコンピュータに取り込んで再構築しさらにその上に生演奏を行い、それを再びコンピュータで...というプロセスを繰り返すことによって楽曲を構築。
 魚住が制作した人工生命を使ったリズム生成ソフトウェア「gismo」が第六のメンバーとして存在。ライブや音源の中でその内容を体験することもできる。



*2003年、Cubic music よりファーストアルバム "meme?"を2年かけてリリース。

*現在はマルチエージェントと呼ばれる複雑系などコンピュータシミュレーションの技法を援用してのICを用いた実験的なパフォーマンスとレコーディングを進行中。

*SJのライブをお聴きになって、どのようなシステムで演奏が行われているのか、興味をお持ちになった方などは、 [+SJというシステム ] をご参照ください。

 

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*インスタントコンポジション < 戻る

 譜面なしで、その瞬間で演奏内容を決定していくことは一般に「即興演奏」「インプロビゼーション」などと呼ばれている。
 通常こういった言葉は「演奏」や「アンサンブル」「パフォーマンス」といった部分に注目した概念である。つまり、各パートまたは特定パートがどのような演奏を繰り広げるかが重要であり、それを譜面などを使わず、その場で決めていく行為である。

 これに対し、インスタントコンポジション(以下IC)は「瞬間作曲」ともいうべきもので、その瞬間瞬間に鳴っている音に対し、各パートが必要な音部品をデザインし、提供していく。
 この場合、重要となるのは演奏やパフォーマンスではなく、楽音の「構造」「展開」「制限・拡張」といったといった部分になる。従って、「演奏しない」という選択も立派なICであるといえる。
 従って、ICでは鳴っている全ての音が演奏者が現在の音楽構造を把握し、未来予測した上で意図的に提供された部品であるといえる。
 ただし、即時的に複数人によって演奏が行われる以上、常にイレギュラーにさいなまれるわけで、その予測不可能性と対応が大きな魅力の一つである。
 SamuraiJazzでは、前述の通りICにおけるダイナミクスや触発の道具として "fis"(Flash Instant compose System)を考案し、実験を行っている。

*マルチエージェントシステム

 複数の自律的に行動する構成要素(エージェント)からなるシステム。例えば、人間というエージェントによって構成される人間社会や、様々な免疫細胞からなる免疫システム、動物の群れ、などはみなマルチエージェントシステムである。
 これまで、シミュレーションは現象を、還元主義的に定式を用いて処理していた。これに対し、マルチエージェントシステムでは複雑なものは複雑なままに、構成要素同士の振舞いの結果から算出する。
 例えば、都市の大気汚染を予想するためには、これまでは都市の構成や人口などをもとに、対象の特性を数式化する必要があった。しかし、現実世界の都市には企業、季節、市民といった実に複雑な要素が密接に絡まっており、これらすべてを包括した式を用意することはほぼ不可能である。
 そこで、マルチエージェント手法では、コンピュータ内で無数の市民や企業、車などをヴァーチャルで再現し、一斉に自由に行動させる。その結果を基に大気汚染を予想することが可能になる。さらに再現された都市を操作することで、複雑な構成要素がどのように相関しているかを知ることも可能になる。
 こういった研究により、今までは複雑すぎて扱えないと思われてきた様々な事象の構造が明らかになりつつある。こういった複雑な構造には明らかに似通った性質が存在し、経済学や物理学、生物学などを巻きこんで「複雑系」として統合されつつある。
 複数の人間同士によるセッションも、複数エージェントによる協調分散処理と考えることができ、複雑系特有の創発・カオス・自己組織化といった様々な現象を見せる。
 従って、逆に現在のこういった研究成果をフィードバック(つまみ食い)することで効率的なICを実現・分析することが可能となる。